ライトノベル 推定少女 レビュー

タイトル 推定少女
著者 桜庭一樹
イラスト 高野音彦
出版 ファミ通
発売日 2004年9月


執筆者:jade 評価:
巣籠カナは、ごく普通の15歳の少女。ある夜、家族とのトラブルから家出をした彼女は、町のダストシュートで、銃を握ったまま眠る全裸の少女を発見する。そして、カナは眠りから覚めた少女“白雪”と共に逃亡することになる。東京へ着いた二人は銃に詳しい少年・千晴と知り合い行動を共にすることになるが、そこへ二人を追う黒い謎の影が──というのがこの物語のあらすじ。

この作品でも桜庭一樹節が炸裂。思春期の少年少女の微妙な心情を独特の婉曲的に表現しており、随所にミステリアスな雰囲気を匂わせながらも少女たちの等身大の姿を描いています。
両親との確執、殺人、誘拐など重いテーマを扱っているため、随所に不穏な雰囲気が漂っていますが、前半から中盤にかけてのカナと白雪の掛け合いは年相応の少女たちらしく微笑ましいものがあり、そんな雰囲気を一掃してくれます。それに千晴を加えた三人の些細なやり取りは非常に良かったですね。
ただ、終盤に入って何の前触れもなく宇宙人との銃撃戦が始まるという急展開は正直微妙。一応伏線は張ってあるもののまったく付いていけませんでしたよ(苦笑
個人的にはわざわざSFチックに仕立てたのは失敗だったような気がします。そのせいで結局はラストは夢オチみたいな終わり方でしたからね。そうしなければ家出少女の一時の冒険譚で終わらなかったとはいえ、これでは収拾がつかなくなって苦し紛れにリセットボタンを押したような印象で、はっきり言って消化不良でした。

この作者の長所である子供と大人の心理描写の書き分けは見事の一言だったのですが、理論が伴っていないSF要素とそれによる強引なラストは大きな減点。中の下ってとこですね。こういう青臭い話は好きなんですけどねぇ…
理屈よりも感覚的に物語を楽しむ人、または感受性が強い人には合うかもしれません。




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